典籍閱讀日本の名作短編

手袋を買いに

新美南吉  朗读 ↗ 底本:青空文库 ↗

¶001AI 初稿

寒さむい冬ふゆが北方ほっぽうから、狐きつねの親子おやこの棲すんでいる森もりへもやって来きました。寒冷的冬天从北方,来到了狐狸母子居住的森林。さむい ふゆ が ほっぽう から、 きつね の おやこ の すんでいる もり へ も やってきた。 (或礼貌读音: さむい ふゆ が ほっぽう から、 きつね の おやこ の すんでいる もり へ も やって きました。)

注释

寒い冬が北方から、狐の親子の棲んでいる森へもやって来ました。……
寒いさむい[2]形容词连体形(原形:寒い)
读音:寒(さむ,训读)+い(送假名);意思:寒利的、寒冷的;语法:修饰后面的名词「冬」cold
冬ふゆ[2]名词
读音:训读;意思:冬天winter
がが · 格助词
语法:主格助词,标示句子的主语「寒い冬」(寒冷的冬天)subject marker
北方ほっぽう[0]名词
读音:北(ほく→ほっ,音读,受后音影响促音化)+方(ほう,音读);意思:北方、北边north / northern region
からから · 格助词
意思:从……;语法:表示起点的格助词,「北方から」意为“从北方”from
、、 · 标点符号
句中停顿符号(読点)comma
狐きつね[0]名词
读音:训读,原书自带注音「きつね」;意思:狐狸fox
のの · 格助词
意思:的;语法:连接两个名词「狐」与「親子」,表示修饰/所属关系of / 's
親子おやこ[1]名词
读音:親(おや,训读)+子(こ,训读);意思:亲子、父母和孩子(这里指母子狐狸)parent and child
のの · 格助词
语法:在定语从句(连体修饰句)中,代替主格助词「が」来标示从句的主语(「狐の親子が棲んでいる」)subject marker in subordinate clause
棲んでいるすんでいる[1]五段动词「棲む」的て形+いる(原形:棲む)
读音:棲(す,训读,原书自带注音「す」)+んでいる;意思:居住、栖息;语法:棲む(サ行/マ行五段动词:む结尾)→ 撥音便「棲んで」+补助动词「いる」(表示持续状态),修饰后面的「森」living / inhabiting
森もり[0]名词
读音:训读;意思:森林forest
へへ(读作 え) · 格助词
读音:写作假名“へ”,作为助词时读作“え”;意思:向、到;语法:表示动作方向或到达点to / toward
もも · 提示助词
意思:也、连……也;语法:附在「へ」后面形成重叠助词「へも」,强调“甚至也来到了……(森林)”also / even
やってくるやってくる[3]复合动词/サ变动词(原形:やってくる)
读音:やって(やって[1])+くる(くる[1]);意思:来到、过来;语法:动词「やる」(派遣/做)的て形「やって」+移动动词「来る(くる)」,表示由远及近地到来come / arrive
来ましたきました[2]カ变动词「来る」的过去礼貌体(原形:来る)
读音:来(き,音读/变格活用);语法:来る(カ变动词) → 来(き,连用形)+ました(礼貌体助动词「ます」的过去式)=“来到了”came
。。 · 标点符号
句末结束符号(句点)period

语法

连体修饰句(定语从句)中主格「が」变「の」« 狐の親子の棲んでいる森 »
在修饰名词的从句中,主格助词「が」常常可以替换为「の」,用于避免句子中连续出现多个「が」导致语气过于重叠;接续:名词+の+动词连体形+被修饰名词;例:私の読んだ本(わたし の よんだ ほん,我读过的书)subject marker shift from 'ga' to 'no' in noun-modifying clause
动词て形+いる(状态/动作进行)« 棲んでいる »
表示动作的持续、状态的存续或习惯;接续:五段动词む结尾变「んで」+いる;例:東京に住んでいる(とうきょう に すんでいる,住在东京)be doing / state of being
复合动词「〜てくる」(方向性/渐进)« やって来ました »
动词「て形」+来る,表示某种状态或动作从远方朝向说话者(或视角焦点)由远及近地到来,或者某种变化逐渐显现;接续:やる → やって + 来る;例:雨が降ってきた(あめ が ふって きた,下起雨来了)come up / arrive / start to
提示助词重叠「へも」« 森へも »
格助词「へ」(方向)与提示助词「も」(也/连)重叠使用,表示“连往……也……”、“向……也……”;接续:名词+へ+も;例:日本へも行きたいです(にほん へ も いきたい です,我也想去日本)to ... as well / even to

译

寒冷的冬天从北方,来到了狐狸母子居住的森林。

解读

这是童话《买手套》(『手袋を買いに』)震撼开篇的第一句。

  1. 拟人化手法:作者把“寒い冬”(寒冬)当作一个有生命的实体,使用动词「やって来る」(走来、来到),仿佛冬天是一个踩着脚步从北方一步步跨越而来的拜访者,给文章蒙上了一层带有诗意与童话色彩的画面感。
  2. 场景烘托与伏笔:句中特别交代了「狐の親子の棲んでいる森」(狐狸母子居住的森林),并用「〜へも」(也来到)将大自然的季节变化与小狐狸一家的命运联系在一起,为后文寒冬降临、小狐狸冻得手疼、母狐狸不得不带它去人类小镇买手套的情节做出了极其自然而温暖的铺垫。
¶002AI 初稿

或朝あるあさ洞穴ほらあなから子供こどもの狐きつねが出でようとしましたが、某天早晨,小狐狸正打算从洞穴里出来,但是……あるあさ ほらあな から こども の きつね が でよう と しました が、

注释

或朝洞穴から子供の狐が出ようとしましたが、……
或朝あるあさ[1]名词
读音:或(ある,训读)+朝(あさ,训读),原书自带注音「あるあさ」;意思:某天早晨、一天早晨one morning
洞穴ほらあな[0]名词
读音:洞(ほら,训读)+穴(あな,训读),原书自带注音「ほらあな」;意思:洞穴、山洞cave / hole
からから · 格助词
意思:从……;语法:表示动作起点的格助词,「洞穴から」意为“从洞穴里”from
子供こども[0]名词
读音:子(こ,训读)+供(ども,训读,“とも”连浊为“ども”);意思:孩子;与中文:中文“子供”不是常用词,日语里专指“孩子”child
のの · 格助词
意思:的;语法:连接两个名词,「子供の狐」即“狐狸的孩子→小狐狸”'s / of
狐きつね[0]名词
读音:训读,一个汉字读三个假名;意思:狐狸fox
がが · 格助词
语法:主格助词,标示句子的主语「子供の狐」(小狐狸)subject marker
出ようとしましたがでようとしましたが[0]动词意志形+と+する+が(原形:出る、する)
读音:出(で,训读)+よう+と+し+まし+た+が;意思:正打算出来,但是……;语法:①「出る」(一段动词)去「る」加「よう」变成意志形「出よう」;②「意志形+とする」表示“打算/正要做某事”;③「する」变连用形「し」+礼貌体过去式「ました」=「としました」(正打算做……);④接续助词「が」附在句末,表示逆折转折(“正打算……但是……”)was about to exit, but

语法

动词意志形+とする« 出ようとしました »
表示“正打算做某事”或“刚要做某事”;接续:一段动词去「る」+よう+とする(出る→出ようとする);例:出かけようとした時、雨が降り出しました(でかけよう と した とき、あめ が ふりだしました,刚打算出门的时候,下起雨来了)be about to do something
意志形(一段动词)« 出よう »
表示说话人的意志、意图或提出建议;接续:一段动词去掉词尾「る」+「よう」;例:食べる→食べよう(たべよう,吃吧/打算吃)volitional form
接续助词「が」(转折/铺垫)« 〜が »
用于连接两个句子,表示转折(但是),或者在讲述后续动作前做背景铺垫;接续:句子简体或敬体+が;例:買いたいですが、お金がありません(かいたい です が、おかね が ありません,想买,但是没有钱)but / although

译

某天早晨,小狐狸正打算从洞穴里出来,但是……

解读

  1. 情节转折:这一句在原文¶002中是一个未完结的从句,以转折接续助词「が」(但是)结尾,紧紧衔接下一段(¶003)小狐狸突然喊出「あっ」并揉着眼睛跑回母狐狸身边的情节,造成了悬念。
  2. 意图与突发状况的对比:句中使用「出ようとしましたが」(正打算出来,但是……)展现了小狐狸满怀期待想出去玩,却立刻遇到了意料之外突发状况的戏剧性对比。
¶003AI 初稿

「あっ」と叫さけんで眼めを抑おさえながら母かあさん狐きつねのところへころげて来きました。「啊!」地叫了一声,一边捂着眼睛,跌跌撞撞地跑到了狐狸妈妈身边。「 あっ 」 と さけんで め を おさえ ながら かあさん きつね の ところ へ ころげて きました。

注释

「あっ」と叫んで眼を抑えながら母さん狐のところへころげて来ました。……
「「 · 标点符号
引用符号(前引号)quote
あっあっ[1]感叹词
读音:促音结尾表示声音突然中断或惊吓;意思:啊!(表示受惊、吃惊或突然感觉疼痛时的叫声)ah! / oh!
」」 · 标点符号
引用符号(后引号)quote
とと · 格助词
语法:引用格助词,表示发出的声音或引用的内容,附在「あっ」后面,与后面的「叫んで」搭配quotation marker
叫んでさけんで[2]五段动词「叫ぶ」的て形(原形:叫ぶ)
读音:叫(さけ,训读)+んで;意思:大叫、喊叫;语法:叫ぶ(バ行五段动词:ぶ结尾)→ 拨音便「叫んで」,用于连接连续发生的动作(一边叫着,然后……)shouting / crying out
眼め[1]名词
读音:训读,原书自带注音「め」;意思:眼睛eye
をを · 格助词
语法:宾格助词,标示动作「抑え」的直接宾语object marker
抑えながらおさえながら[4]一段动词「抑える」的ます形词干+ながら(原形:抑える)
读音:抑(おさ,训读,原书自带注音「おさ」)+え+ながら;意思:一边捂着/按着(眼睛);语法:抑える(一段动词)→ 去「る」得词干「抑え」+接续助词「ながら」,表示同一主体同时进行两个动作(一边捂着眼睛,一边滚跑过来)while pressing/covering
母さんかあさん[2]名词
读音:母(かあ,训读「はは」的亲昵变化,长音)+さん(尊称接尾词);意思:妈妈mother
狐きつね[0]名词
读音:训读;意思:狐狸fox
のの · 格助词
意思:的;语法:连接两个名词「母さん狐」与「ところ」,表示所属或修饰关系's / of
ところところ[0]名词
读音:训读;意思:地方、处所、身边;语法:接在表示人的名词(母さん狐の)后面,表示“某人所在的场所/身边”place / side
へへ(读作 え) · 格助词
读音:写作“へ”但读作“え”;意思:向、到;语法:表示移动的方向或到达点to / toward
ころげてころげて[3]一段动词「転げる」的て形(原形:転げる)
读音:転(ころ,训读)+げて;意思:跌跌撞撞地跑、打滚、跌倒;语法:転げる(一段动词)→ 去「る」+「て」=「ころげて」,表示连贯动作tumbling / stumbling
来ましたきました[2]カ变动词「来る」的过去礼貌体(原形:来る)
读音:来(き,音读/变格活用);语法:来る(カ变动词) → 来(き,连用形)+ました(礼貌体助动词「ます」的过去式)=“来到了/跑过来了”came
。。 · 标点符号
句末结束符号(句点)period

语法

动词ます形词干+ながら« 眼を抑えながら »
表示同一个主体同时进行两个动作(“一边……一边……”),前项动作是伴随动作,重点在后项;接续:一段动词去「る」+ながら(抑える→抑え+ながら);例:音楽を聞きながら勉強します(おんがく を きき ながら べんきょう します,一边听音乐一边学习)while doing
人名/代词+のところへ« 母さん狐のところへ »
日语中表示“前往某人处”时,不能直接说「人+へ」,必须加上「ところ」(场所)组成「人のところへ/に」;接续:名词(人)+の+ところ+へ/に;例:友達のところへ行きます(ともだち の ところ へ いきます,去朋友那里)to where someone is
格助词「と」(声音/引用/内容)« 「あっ」と叫んで »
附在拟声词、感叹词或直接引语后面,表示发出的声音或动作的内容;接续:词语/句子+と+思考/发声动词(叫ぶ、言う、思う等);例:「はい」と答えました(「はい」 と こたえました,回答说“好的”)quotation / sound marker
动词て形+来る(移动/趋向)« ころげて来ました »
表示动作由远及近地朝说话者(或视角中心)的方向发展;接续:一段动词去「る」+て+くる;例:走って来ました(はしって きました,跑过来了)do something and come

译

「啊!」地叫了一声,一边捂着眼睛,跌跌撞撞地跑到了狐狸妈妈身边。

解读

  1. 动作与情绪的生动描写:本句通过感叹词「あっ」、动作「叫んで」(叫)、「眼を抑えながら」(捂着眼睛)以及「ころげて来ました」(跌跌撞撞跑过来),极其形象地刻画了小狐狸初次见到雪面强光反射时的惊慌失措与稚嫩娇气。
  2. 动词「ころげる」的童话色彩:作者没有使用普通的「走って来ました」(跑过来),而是用了「ころげて来ました」(打滚着/跌跌撞撞地跑过来),既贴合小狐狸笨拙可爱的幼崽形象,也凸显了它因为眼睛受刺激而慌乱逃回妈妈身边的急切感。
  3. 句法结构:本句是由上一句(¶002「出ようとしましたが、」)延伸而来的承接句,句中使用「〜しながら」(一边……一边……)连贯了小狐狸的身体反应与移动方向。
¶004

「母ちゃん、眼に何か刺さった、ぬいて頂戴ちょうだい早く早く」と言いました。

¶005

母さん狐がびっくりして、あわてふためきながら、眼を抑えている子供の手を恐る恐るとりのけて見ましたが、何も刺さってはいませんでした。母さん狐は洞穴の入口から外へ出て始めてわけが解わかりました。昨夜のうちに、真白な雪がどっさり降ったのです。その雪の上からお陽ひさまがキラキラと照てらしていたので、雪は眩まぶしいほど反射していたのです。雪を知らなかった子供の狐は、あまり強い反射をうけたので、眼に何か刺さったと思ったのでした。

¶006AI 初稿

子供こどもの狐きつねは遊あそびに行いきました。小狐狸出去玩了。こども の きつね は あそび に いきました。真綿まわたのように柔やわらかい雪ゆきの上うえを駈け廻かけまわると、雪の粉こが、しぶきのように飛び散って小さい虹にじがすっと映るのでした。(小狐狸)在像丝绵一样柔软的雪上跑来跑去,まわた の ように やわらかい ゆき の うえ を かけまわる と、

注释

子供の狐は遊びに行きました。……
子供こども[0]名词
读音:子(こ,训读)+供(ども,训读,“とも”连浊为“ども”);意思:孩子;与中文:中文没有“子供”这个词,日语里就是“孩子”child
のの · 格助词
意思:……的;语法:连接两个名词,“子供の狐”=孩子的狐狸→小狐狸's, of
狐きつね[0]名词
读音:训读,一个汉字读三个假名;原文自带注音(第 1 段);意思:狐狸fox
はは · 提示助词
读音:写作“は”却读“わ”;语法:提示这句话的主题,“小狐狸呢……”topic marker
遊びにあそびに[0]动词ます形词干+に(原形:遊ぶ)
读音:遊(あそ,训读)+び(送假名);语法:遊ぶ(五段)→ 遊び(ます形词干)+に,表示目的“去玩”;与中文:日语“遊ぶ”是“玩”,不是“游泳/旅游”(to) play
行きましたいきました[4]五段动词过去礼貌体(原形:行く)
读音:行(い,训读);语法:行く → 行き(连用形)+ました(ます的过去式)=“去了”,礼貌体went
真綿のように柔かい雪の上を駈け廻ると、……
真綿まわた[0]名词
读音:真(ま,训读)+綿(わた,训读);原文自带注音;意思:丝绵,蚕丝做的绵,非常柔软silk floss
のようにのように · 比况助动词
语法:名词+の+ように=“像……一样(地)”,后接形容词“柔かい”like
柔かいやわらかい[4]形容词(原形:柔らかい)
读音:原文注音“やわら”+かい;现在一般写“柔らかい”,这里是旧的送假名;意思:柔软的soft
雪ゆき[2]名词
读音:训读;意思:雪snow
の上のうえ · 名词+格助词
读音:上(うえ,训读);语法:“雪の上”=雪的上面on top of
をを · 格助词
读音:写作“を”读“お”;语法:在移动动词前表示经过的场所,“在雪上(跑来跑去)”(through/over)
駈け廻るかけまわる[4]五段动词(原形:駈け廻る)
读音:駈(か,训读,原文注音)+け+廻(まわ,训读,原文注音)+る;今写“駆け回る”;意思:到处跑run around
とと · 接续助词
语法:动词原形+と=“一……就……”,后面接自然发生的结果when

语法

动词ます形词干+に+移动动词« 遊びに行きました »
表示“去做某事”;接续:遊ぶ→遊び+に+行く/来る;例:パンを買いに行きます(ぱん を かい に いきます,去买面包)go to do
动词原形+と(条件)« 駈け廻ると »
“一……就……”,前项一发生后项自然随之出现,多用于描写已发生的情景或规律;例:春になると、花が咲きます(はる に なる と、はな が さきます,一到春天花就开)when, whenever

译

小狐狸出去玩了。它在像丝绵一样柔软的雪上跑来跑去,雪粉像水花一样飞溅开来,一道小小的彩虹便忽地映现出来。

¶007

すると突然、うしろで、

¶008

「どたどた、ざーっ」と物凄ものすごい音がして、パン粉のような粉雪こなゆきが、ふわーっと子狐におっかぶさって来ました。子狐はびっくりして、雪の中にころがるようにして十米メートルも向こうへ逃げました。何だろうと思ってふり返って見ましたが何もいませんでした。それは樅もみの枝から雪がなだれ落ちたのでした。まだ枝と枝の間から白い絹糸のように雪がこぼれていました。

¶009

間もなく洞穴へ帰って来た子狐は、

¶010

「お母ちゃん、お手々が冷たい、お手々がちんちんする」と言って、濡ぬれて牡丹色ぼたんいろになった両手を母さん狐の前にさしだしました。母さん狐は、その手に、は――っと息をふっかけて、ぬくとい母さんの手でやんわり包んでやりながら、

¶011

「もうすぐ暖あたたかくなるよ、雪をさわると、すぐ暖くなるもんだよ」といいましたが、かあいい坊やの手に霜焼しもやけができてはかわいそうだから、夜になったら、町まで行って、坊ぼうやのお手々にあうような毛糸の手袋を買ってやろうと思いました。

¶012

暗い暗い夜が風呂敷ふろしきのような影をひろげて野原や森を包みにやって来ましたが、雪はあまり白いので、包んでも包んでも白く浮びあがっていました。

¶013

親子の銀狐は洞穴から出ました。子供の方はお母さんのお腹なかの下へはいりこんで、そこからまんまるな眼をぱちぱちさせながら、あっちやこっちを見ながら歩いて行きました。

¶014

やがて、行手ゆくてにぽっつりあかりが一つ見え始めました。それを子供の狐が見つけて、

¶015

「母ちゃん、お星さまは、あんな低いところにも落ちてるのねえ」とききました。

¶016

「あれはお星さまじゃないのよ」と言って、その時母さん狐の足はすくんでしまいました。

¶017

「あれは町の灯ひなんだよ」

¶018

その町の灯を見た時、母さん狐は、ある時町へお友達と出かけて行って、とんだめにあったことを思出おもいだしました。およしなさいっていうのもきかないで、お友達の狐が、或ある家の家鴨あひるを盗もうとしたので、お百姓ひゃくしょうに見つかって、さんざ追いまくられて、命からがら逃げたことでした。

¶019

「母ちゃん何してんの、早く行こうよ」と子供の狐がお腹の下から言うのでしたが、母さん狐はどうしても足がすすまないのでした。そこで、しかたがないので、坊ぼうやだけを一人で町まで行かせることになりました。

¶020

「坊やお手々を片方お出し」とお母さん狐がいいました。その手を、母さん狐はしばらく握っている間に、可愛いい人間の子供の手にしてしまいました。坊やの狐はその手をひろげたり握ったり、抓つねって見たり、嗅かいで見たりしました。

¶021

「何だか変だな母ちゃん、これなあに?」と言って、雪あかりに、またその、人間の手に変えられてしまった自分の手をしげしげと見つめました。

¶022

「それは人間の手よ。いいかい坊や、町へ行ったらね、たくさん人間の家があるからね、まず表に円まるいシャッポの看板のかかっている家を探さがすんだよ。それが見つかったらね、トントンと戸を叩たたいて、今晩はって言うんだよ。そうするとね、中から人間が、すこうし戸をあけるからね、その戸の隙間すきまから、こっちの手、ほらこの人間の手をさし入れてね、この手にちょうどいい手袋頂戴って言うんだよ、わかったね、決して、こっちのお手々を出しちゃ駄目だめよ」と母さん狐は言いきかせました。

¶023

「どうして?」と坊やの狐はききかえしました。

¶024

「人間はね、相手が狐だと解ると、手袋を売ってくれないんだよ、それどころか、掴つかまえて檻おりの中へ入れちゃうんだよ、人間ってほんとに恐こわいものなんだよ」

¶025

「ふーん」

¶026

「決して、こっちの手を出しちゃいけないよ、こっちの方、ほら人間の手の方をさしだすんだよ」と言って、母さんの狐は、持って来た二つの白銅貨はくどうかを、人間の手の方へ握らせてやりました。

¶027

子供の狐は、町の灯ひを目あてに、雪あかりの野原をよちよちやって行きました。始めのうちは一つきりだった灯が二つになり三つになり、はては十にもふえました。狐の子供はそれを見て、灯には、星と同じように、赤いのや黄いのや青いのがあるんだなと思いました。やがて町にはいりましたが通りの家々はもうみんな戸を閉しめてしまって、高い窓から暖かそうな光が、道の雪の上に落ちているばかりでした。

¶028

けれど表の看板の上には大てい小さな電燈がともっていましたので、狐の子は、それを見ながら、帽子屋を探して行きました。自転車の看板や、眼鏡めがねの看板やその他いろんな看板が、あるものは、新しいペンキで画かかれ、或あるものは、古い壁のようにはげていましたが、町に始めて出て来た子狐にはそれらのものがいったい何であるか分らないのでした。

¶029

とうとう帽子屋がみつかりました。お母さんが道々よく教えてくれた、黒い大きなシルクハットの帽子の看板が、青い電燈に照てらされてかかっていました。

¶030

子狐は教えられた通り、トントンと戸を叩きました。

¶031

「今晩は」

¶032

すると、中では何かことこと音がしていましたがやがて、戸が一寸ほどゴロリとあいて、光の帯が道の白い雪の上に長く伸びました。

¶033

子狐はその光がまばゆかったので、めんくらって、まちがった方の手を、――お母さまが出しちゃいけないと言ってよく聞かせた方の手をすきまからさしこんでしまいました。

¶034

「このお手々にちょうどいい手袋下さい」

¶035

すると帽子屋さんは、おやおやと思いました。狐の手です。狐の手が手袋をくれと言うのです。これはきっと木この葉はで買いに来たんだなと思いました。そこで、

¶036

「先にお金を下さい」と言いました。子狐はすなおに、握って来た白銅貨を二つ帽子屋さんに渡しました。帽子屋さんはそれを人差指ひとさしゆびのさきにのっけて、カチ合せて見ると、チンチンとよい音がしましたので、これは木の葉じゃない、ほんとのお金だと思いましたので、棚たなから子供用の毛糸の手袋をとり出して来て子狐の手に持たせてやりました。子狐は、お礼を言ってまた、もと来た道を帰り始めました。

¶037

「お母さんは、人間は恐ろしいものだって仰有おっしゃったがちっとも恐ろしくないや。だって僕の手を見てもどうもしなかったもの」と思いました。けれど子狐はいったい人間なんてどんなものか見たいと思いました。

¶038

ある窓の下を通りかかると、人間の声がしていました。何というやさしい、何という美しい、何と言うおっとりした声なんでしょう。

¶039

「ねむれ ねむれ

¶040

母の胸に、

¶041

ねむれ ねむれ

¶042

母の手に――」

¶043

子狐はその唄声うたごえは、きっと人間のお母さんの声にちがいないと思いました。だって、子狐が眠る時にも、やっぱり母さん狐は、あんなやさしい声でゆすぶってくれるからです。

¶044

するとこんどは、子供の声がしました。

¶045

「母ちゃん、こんな寒い夜は、森の子狐は寒い寒いって啼ないてるでしょうね」

¶046

すると母さんの声が、

¶047

「森の子狐もお母さん狐のお唄をきいて、洞穴ほらあなの中で眠ろうとしているでしょうね。さあ坊やも早くねんねしなさい。森の子狐と坊やとどっちが早くねんねするか、きっと坊やの方が早くねんねしますよ」

¶048

それをきくと子狐は急にお母さんが恋しくなって、お母さん狐の待っている方へ跳とんで行きました。

¶049

お母さん狐は、心配しながら、坊やの狐の帰って来るのを、今か今かとふるえながら待っていましたので、坊やが来ると、暖あたたかい胸に抱きしめて泣きたいほどよろこびました。

¶050

二匹の狐は森の方へ帰って行きました。月が出たので、狐の毛なみが銀色に光り、その足あとには、コバルトの影がたまりました。

¶051

「母ちゃん、人間ってちっとも恐こわかないや」

¶052

「どうして?」

¶053

「坊、間違えてほんとうのお手々出しちゃったの。でも帽子屋さん、掴つかまえやしなかったもの。ちゃんとこんないい暖い手袋くれたもの」

¶054

と言って手袋のはまった両手をパンパンやって見せました。お母さん狐は、

¶055

「まあ!」とあきれましたが、「ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら」とつぶやきました。